1.子どもにとっての遊び
・時代を超えて、また国や文化を越えて、子どもたちはみな自然に遊びます。遊びは、子どもたちが気持ちや考えを表現するもっとも自然なものです。大人たちが言葉を使うのと同じように子どもは遊びを言語として用います。子どもたちは遊びに没頭し、遊びにたくさんのエネルギーや感情を注ぎます。
・遊びは、子どもたちにとって、おもしろいものですし、何かの目的のために遊ぶのでなく遊びそのものを目的とします。最終結果よりも、遊びのプロセスが大事です。またコミュニケーションの手段でもありますし、感じたこと考えたことの整理、社会性を学ぶもの、創造性や問題解決能力を育てるもの、でもあります。
・遊びはには、このような力があります。遊びの持つ力をぜひ実感してください。そして子どもが遊ぶことを尊重しましょう。
2.プレイセラピーとは?
・プレイセラピー(遊戯療法)とは、子どもとセラピスト(治療者)の適切で特別な対人関係の中で、安全な環境と遊び道具を使って、子どもが自分の気持ちや考えや行動を表現したり探索したりするのを、プレイセラピストという大人が促進し手伝うものです。
・プレイセラピーには、来談者中心、精神分析的、認知-行動的、ナラティヴなど、さまざまなアプローチがありますが、子どもの発達段階やニーズ(必要)にあわせて、柔軟で最適なアプローチをする力がセラピストには求められます。
プレイセラピーには、一般的な心理療法と同様に、さまざまな理論的基盤があります。それぞれの理論的アプローチは、治療過程において、独自の視点と、具体的なスキルや介入方法を提供します。プレイセラピーのセッションは理論によって異なるものになるため、セラピストは、自身の支持する理論に基づいた治療を行うだけでなく、子どもの発達段階や個々のニーズに応じて、最も効果的で適切な治療を適用できる柔軟性をもつことが必要です。つまり、子どもが自分自身を表現でき、自身の抱える困難に対して最も適切な方法で対処できるような支持的な環境をつくりだすことのできる、熟練し、かつ対応力のあるセラピストが求められます。
3.治癒的遊びとは?
治癒的遊びとは、子どもの総合的な発達と健康を促進するために、遊びを用いるたいへん有益なアプローチです。このアプローチの主たる目的は、子どもたちが自分自身のことを自由に表現し、他者と関わることができると感じられる、安全で支持的な環境を築くことにあります。治癒的遊びは、軽度な心理社会的問題、行動面での問題、およびトラウマ体験直後の、予防と対応に効果があるということがわかっています。さらに、治癒的遊びは、プレイセラピーの対象となる、より深刻な問題を見極めることにも効果的です。治癒的遊びは、学校、地域のコミュニティセンター、病院、その他の場所で幅広く実施されます。そのような場所では、治癒的遊びを理解し適用するトレーニングを受けている信頼できる大人がファシリテーターを努めます。
治癒的遊びとプレイセラピーはいくつかの点で異なっていることを理解しておくことは重要なことです。第一に、治癒的遊びは心理精神療法としての治療法ではありません。第二に、治癒的遊びの主な目的は軽度な症状を軽減することにあります。最後に、ファシリテーターはプレイセラピストでなくても良い、ということがあります。メンタルヘルスの専門家ではない人が治癒的遊びのファシリテーターとなる場合には、心理学理論に精通していること、倫理規定を守こと、プレイセラピートレーニングを修了していること、そして臨床を行う上でのスーパービジョンを受ける、といった条件を満たしている必要はありません。しかし、メンタルヘルスの専門家が治癒的遊びを臨床現場に取り入れる場合には、プレイセラピー実施時と同様に上記の条件を満たしている必要があります。
4.当会について
・当会は、非営利団体として、プレイセラピー(遊戯療法)という児童心理療法や、その基礎理論である児童心理学、発達心理学、臨床心理学を研究し、日本におけるプレイセラピーの普及に関する活動(広報活動、研修会の企画・開催等)を行う団体です。心理的に問題を抱える乳幼児、児童、青年およびその保護者らを主な対象としていますが、それ以外の子育て中の保護者の支援も行っています。遊びの力について、有効で適切なプレイセラピーのアプローチについて、子育てに役立つ様々なことなどについて、研究や広報、研修会活動を主な活動としています。また、専門家(心理専門家、教員、保育者、精神科医等)への広報(情報提供)や、研修会を通じた支援も行っています。
・当会は、子どもたちの遊びの世界のもっている力や、子どもたちに役立つプレイセラピーが、ますます社会に認知されることを願っています。当会は、子どもたちが生きること、遊びの世界を大切にすることについて、理論はもちろん、具体的で適切な方法をも研究しています。そしてその蓄積を、社会全体で分かち合い、社会全体で子どもたちを暖かく適切に見守り育てることができるよう、広報活動や研修会開催等の活動を行っています。
・当会の趣旨にご賛同いただき、当会の活動を支援いただける方(ご寄付や会場等のご提供などのご支援)は、お手数ですが、当会事務局までご連絡ください。
○ 日本プレイセラピー協会 理事一覧
代表理事 本田涼子(臨床心理士・公認心理師、マディヤーマ・メンタルクリニック川崎、CIFCカウンセリングルーム市ヶ谷)
理事 大野木嗣子(臨床心理学博士、ドクター大野木サイコセラピー・カウンセリング)
理事 小川裕美子(臨床心理士、RPT-S:米国プレイセラピー協会登録プレイセラピスト-スーパーバイザー)
理事 湯野 貴子(臨床心理士、ファミリーメンタルクリニックまつたに、RPT-S)
理事 松岡展世(臨床心理士・公認心理師) 理事 加本有希(臨床心理士・公認心理師・精神保健福祉士)
理事 清田真由美(臨床心理士・公認心理師)
理事 土居真実 (臨床心理士・公認心理師)
理事 和田 京(公認心理師、 マディヤーマ・メンタルクリニック川崎)
○ 日本プレイセラピー協会 顧問
顧問 Linda E. Homeyer, PhD, LPCS, RPTS
Texas State University Distinguished Professor Emerita
Association for Play Therapy Director Emerita
World Association for Sand Therapy Professionals Advisory Board
○ 日本プレイセラピー協会 協力団体
協力団体 米国プレイセラピー協会(APT)
協力団体 ドクター大野木・サイコセラピー・カウンセリング
協力団体 東京プレイセラピーセンター
協力団体 ファミリーメンタルクリニックまつたに
協力団体 特定非営利活動法人 災害時こどものこころと居場所サポート(災害こどもこころ)
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